仕事+休暇=「ワーケーション」、実証事業報告会を実施





突発的な業務が発生しても安心 「ワーケーション」で旅を楽しみ仕事も効率化


 JAL(日本航空)は2月1日、東京の本社近くにある「JAL Innovation Lab」で「徳之島ワーケーション実証事業報告会」を開催した。

 ワーケーションとは「仕事(work)」と「休暇(vacation)」を組み合わせた造語で旅行先や帰省先などでテレワークを行なうことを示す。2017年夏に働き方改革の一環として採用し、2017年度夏期は11名、2018年度夏期は78名(上期総計91名)と年々利用者が増加。年次有給休暇の取得促進とともに、旅先での業務を認めることで仕事に対するモチベーションアップや心身のリフレッシュなどの効果が期待されている。

 JALが参画した「徳之島ワーケーション実証事業」は鹿児島県徳之島町と富士ゼロックス鹿児島が主催する、コアワーキングスペース「みらい創りラボ・いのかわ」を活用したプログラム。2018年11月下旬から12月上旬にかけてJALの社員10名と家族10名の合計20名が3泊4日で観光を楽しみながらワーケーションの持続可能性を探った。



 鹿児島県徳之島町 企画課の竹原祐樹氏は冒頭で「みらい創りラボ・いのかわ」を紹介。島内外の人々の交流の場所として、また島の未来づくりの拠点として活用されており、今回の体験事業ではテレワークによる新たな価値の創造の探求が目的であることなどを説明した。


 続いてJAL 人材戦略部の東原祥匡氏は「社員一人ひとりにあわせた新しい働き方へ ~ワーケーションの生み出す可能性~」として同社の取り組みを説明。企業理念の実現には社員自身の物心両面の幸福の追求が不可欠で、生き生きと働ける職場であるために働き方改革を推進していることを紹介。

 ほぼ毎年社長メッセージを発表しているが2015年、2017年の「ワークスタイル変革」に注目。2015年は環境整備がメイン、2017年は実践の年として総実労働時間1850時間と定め年次有給休暇や残業・休日労働時間の削減、そして休暇取得のための施策として「ワーケーション」につながったと話した。



 働き方の一つとして2014年より在宅勤務がスタートしたが利便性が低くほぼ使われていない状態だったそうだ。その後社員からの意見を取り入れながらトライアルを繰り返し2016年にテレワークスタイルとなった。在宅縛りだけではなく、帰省先や旅先でとの要望があり2017年にワーケーションの導入へ。現在は突発的な業務が発生しても旅を諦めずに済むようにとのセフティーネットとして機能する部分も大きいという。

 社内での利用促進と意識改革のために2018年4月には勤怠管理システムに「ワーケーション勤務」を選択項目に追加、ワークショップ開催に役員による体験、社内イントラネットでの特設ページなどで利用者数も増加中。同社では休暇取得をメインにしている部分もポイントだ。

 なお、社員からは旅行中でも正式に業務が認められ時間が設定されることで旅、仕事両方に集中できると好評。選択肢の一つとしてじわじわと広がりつつあるという。

 2018年度上期でテレワーク経験者が全社員の約5割を超え、今後は旅だけではなく非常時の対策としても事業運営において重要な位置を占めそうだ。



参加者が徳之島での観光&業務体験を報告 事業継続や観光資源について考えた


 報告会では徳之島にてワーケーションを体験した社員らが現地での行動や地域活性化のための提案を行なった。参加条件は有給取得をし、3泊4日のうち1日4時間を2日間などというように合計1日(1日の勤務時間は原則8時間のため)は業務をラボを利用するとした。

 JAL 石田剛氏は友人と参加。前半は仕事をし、後半は休暇を楽しんだという。「オンオフが効率よくでき、気持ちのデトックスができた」と振り返った。旅の候補先となるようなPRや地元の農業と結び付けるなど訪問のきっかけづくりが必要と話した。


 JALエンジニアリング 山口桂介氏は現地写真も紹介。通常はハンガーで勤務しておりテレワークやワーケーションに慣れていないため今回参加したとのこと。忙しい時期の参加だったが業務もきちんと行なえ、家族サービスもでき満足。社内にさらに浸透していけるように積極的に発信したいと話した。


 JAL 千葉順一氏は2019年度の予算編成の時期に参加。豊かな自然の中で重要な業務を落ち着いて行なうことができたと絶賛。会社が人間らしい生活の場や機会を与えてくれたことに感謝していた。参加前は旅行中に仕事を行うのは損なのでは?と思っていたが体験後はむしろ得!との考えになったという。現在出張時にプラスして余暇を楽しむことは禁止されているが、あえて自分たちが今後積極的に制度を作っていくのもいいのでは? と話した。


 JALインフォテック 岸江大作氏は子供とともに家族で参加。木金土日の4日間滞在で前半2日間の午前中に業務。残りは休暇とし初ダイビング体験も。環境整備の面ではWi-Fiの安定や高速化を希望。「みらい創りラボ・いのかわ」は、ワーケションとともにグループ合宿や新規事業立ち上げ時のディスカッションなど創造性が必要な場面での活用が望ましいとも。

一消費者としての目線で自分が行く時に何を目的とするか? や販売時のプロモーションについてを考察。「徳之島と言えばワーケーション」と認知が高まるような施策が必要であると共に、仕事をする環境は整備されていたため、あとはバケーション部分の充実が鍵とのことだった。


 ジャルパック 田尻智子氏は同僚の母親同士で日月火水に参加。保育所をリノベーションした施設のため子供用の小さなトイレや遊具がある部分に注目。家族連れも活用できると話した。雨天時のアクティビティの充実が必要なことや県道以外の道の整備を提案。仕事面ではPC持参が荷物になるとしながらも環境は整っているとし、テレビ電話で声を出すための個室の必要性を訴えた。


 ジャルパック 永山裕紀氏は田尻氏とともにワーケーションに参加。アクティビティ予約のためのツールの必要性やラボでの業務に早朝や深夜の活用の柔軟性も必要では? と提案。個室や電話スペースの設置を希望とも。なお、会社が設定したツアーのため家族や社内での理解も得やすいので積極的に今後も機会の提供してほしいと締めた。


 JALの阿部元久氏は国際路線のリゾート線担当者ならではの意見を報告。ハワイでのワーケーション提案も視野に入れて参加したという。電話会議ではついつい大声を出してしまったと話しつつ、徳之島では心を解放して仕事に打ち込めたと言い、窓から見える海に会議中癒されたとした。

 なお、ワーケーションを伴った長期滞在では効率も上がり幸せながら費用がかさむため何らかの特典やサポートが必要とした。


 今回の実証事業にはスマートワークよりクリエイター枠で参加した西原樹里氏と塩見徹氏も参加。現地では写真や動画撮影を行ない徳之島の魅力をまとめた作品を作り上げた。ともに闘牛に的を絞って撮影。塩見氏は闘牛の被写体力とともにコンテンツとしてのよさを力説。出来上がった作品も披露した。西原氏も徳之島の居心地のよさと人が財産であると説明。機材調達は若干時間がかかるとしながら編集作業などのデスクワークは問題ないとした。


 報告会ではスマートワーク CEO 吉田徹氏が「テレワークと地方創生、デジタルファクトリープロジェクト」についてプレゼン。自身も徳之島を4~5回訪れ美しい自然に魅了されたことを話し、「WiX」と「SmaPano」に特化したデジタルファクトリーの構想を紹介。「仕事」「スキル」「コアワーキングスペース」の3つを揃え地域の雇用を創出しデジタルワーカーとして地域住民が都市部の仕事を地方で実践。ブランディングを行ない徳之島ならではの仕事を今後生み出すとした。


 鹿児島県徳之島町 町長 高岡秀規氏も最後にあいさつ。当初は企業誘致を模索していたが現在では都市部のクライアント向けの加工業や中小企業を狙っていると話した。徳之島での雇用はコスト削減の実現や通勤時間もなく時間にゆとりがあることも紹介。「徳之島ワーケーション実証事業」の体験者からの提案で多く出ていたキラーコンテンツの必要性は実感しているとし、さらなる努力の必要性を痛感、今後も積極的に色々な挑戦をしていくと約束した。


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